塩について

季節や天候に合わせて、塩分濃度を調整します。

塩を入れないと、延ばしの段階でうどんがブツブツ切れてしまいます。

うどん作りには昔から「土三寒六」という言葉があります。
これはうどんを捏ねる時の塩分の量を言い表した言葉です。
「土」とは土用の丑の「土」で暑い頃。「寒」はその字の通りで寒い頃を指します。うどんの生地を作る時は、あらかじめ飽和食塩水を作っておいて、その時々の温度や湿度に合わせて塩分濃度を調節して小麦粉に加えるのですが、「土三」とは3倍に薄めて「寒六」とは6倍に薄めて使いなさいということ。つまり、暑い盛りは濃い塩水を、寒い季節は塩分濃度を落としなさいという一例です。
もちろん、生麺、乾麺、また産地によって塩分濃度は違います。


なぜ、塩水を加えるかというと、生地のコシを強くするため。塩を加えることによって、小麦粉のグルテンが引き締まるのです。また、生地がダレるのを防ぐ働きもしてくれます。塩水ではなく真水を加えて練ると、生地がブツブツ切れて、手綯(てない)どころではなくなってしまいます。


ところで、塩水で捏ねたうどんですが、ゆでて食べる時は塩分はまったく気にならないと思います。それはゆでることによって、塩分のほとんどがお湯の中に溶け出してしまうからです。また、ゆでる時に溶け出した塩の隙間にお湯が入り込むため、早くゆで上がるというメリットもあります。

画像:塩