
この稲庭うどんを食べたことのある人は、地元でさえ、ほとんどいませんでした。
職人がひとり占めしてきた味
発祥当時より、保存食として重用されてきた稲庭うどんは、乾麺としてその歴史を築いてきました。一方で生麺は、流通未発達な時代に商品化することができず、ごくわずかに作られ、うどん職人とその家族だけが食べていた「幻のうどん」。
この味を一人でも多くの方にお届けしたいという気持ちから生まれたのが、稲庭うどんの「生麺」です。
生麺ならではのモチモチ食感
現在は、うどん作り25年のベテラン職人たった2名が、生麺を作っているため、1日に製造できる量に限りがあり、まさに「幻の生麺」といえます。
乾麺より、さらにコシが強く、しっかりとした歯ごたえと独特のモチモチ感が人気です。


稲庭うどん「生麺」ができるまで
生麺は、乾麺と同じ作業工程の「手綯(てない)」を経た後に「寝かせ」たものをざっと延ばし、微妙に乾燥させたものです。
最も難しいのは、乾燥の具合。
乾き過ぎると乾麺に近く、乾燥が足りなければ独特の食感と風味が出ません。
乾燥室の天井で回る扇風機の風を受けるうどんの揺れ具合で乾燥の程度を見極めます。